NO LIMIT

Endurance Coach & Trail runner Katsutoshi Saijo Official Blog

UTMF振り返り

もうレースから1週間。時間が経つのは早い。あっという間でした。

次に向けての糧にする意味でも、記録としてしっかり残しておこうと思います。

 

<レースまでのトレーニング>

特にUTMF、このレースのため、というトレーニングはしない。考えとして、どのような条件でもしっかり走れる、そして、楽しめる体力を維持していきたい。そのためにはバランスよく、歳を重ねても元気で走れる、そのためのプログラムを考えていく。そして、自分で実践し、さまざまな知見を得る、そして、修正しながら、次に生かし、思いついた新しいことを試す。この流れは、常に意識している。これやっていると、ゴールはないわけで、常にワクワクしながらトレーニングを楽しめる。たぶん、一生わからないことが出てきそうで、人間の身体の追求をしながら、今後も取り組んでいくことになるのだろう。

レースが、ところどころのチェックポイントになるのだが、その度に、うまくいった面もあれば、不足しているなぁ、と感じる面もある。それでいい。

自分の主戦場は、50キロ以上のロングトレイル。レースはそれほど入れていないので、がっつり追い込んでもいない。意識して取り組んだのは、継続したトレーニング。月に超長距離を走りこむ機会を2~3回設けてはいるが・・・。距離、時間、走るコースもそのときによって異なる。トレイルを走るときもあれば、ロードもある。まっ、簡単に言えば、自分の走りたい場所を楽しみながら走ったって感じかな。楽しんで走っていると、時間を経つのも忘れて、自然と距離が踏めたりしているし・・・。

今回もあくまでも通過点。思い描いていた通りの体力も身についていたし、相変わらず足らない部分は変わっておらず、今後も取り組んでいくことになりそうな気配である。

<レース前半>

初めての約100マイル(156キロ)。正直、不安がなかったわけではないが、落ち着いて走れば、走り切れないとは思っていなかった。レース前に100マイルを経験している友人、知人、諸先輩方から、いろいろとアドバイスをもらっていたので、それを全て頭に入れて、走った。簡単に言ったら、「胃が勝負」。「水が飲めないし、ジェル・固形物がのどを通らないし、つらいぞ~」ということを聞いていたので・・・。

スタートして、みんな速いなぁ~と感じる。自分を抑える意味でGarminをつけていたが、自分で抑えてもキロ4分30秒前後。思わず、落として、5分台で走っていたものの、みんな結構飛ばしていたように感じる。ただ、林道に入ったら、自然と落ちていったけど・・・。自分は林道を苦にしないので、普通に走っていましたが・・・。でも、意識したのは、周りのランナーを気にしない。とにかく自分のペース。前半はとにかく抑えた。得意の林道があったけど、自分のリズムを終始大切に走ることが出来た。

A4のすばしりあたりまでは、たぶん20位前後だったかと・・・。

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<レース中盤>

A4のすばしりを過ぎて、大会直前に発表になったコースへ。走れるコースなんだけど、結構上りっぱなし、ってなところもあって、結構タフでした。

あくまでも、ここでも淡々と。夜ステージになり、前半のダメージが大きかったのでしょうか、ちょっとランナーを抜いて、15位前後に。まだまだ余裕。エイドでもしっかり補給を取り、サポートと談笑も出来たので、まずまずの走りでしたね。

A6の水か塚公園で、友人・石川弘樹くんのリタイヤを知る。直前のアクシデントも知っていたので、patagoniaチームだけに、気になるところではあったが、「彼の分も・・・」の気持ちも込め、先を急ぐことに・・・。

A7のこどもの国で大休憩。ウエアを着替えたり、トイレに行ったり、しっかり補給したりと、後半に備えて、鋭気を養う。仲間のサポートがありがたい。

林道中心のコース。ヘッドライトの明かりを頼りに、コースマーキングをしっかり抑えながら走る。途中から、送電線の脇を走ったりと、大きな起伏はなくとも、長く走ってきた身体には応える。自分は淡々と。ここの区間でかなりの選手が吐いていたり、うずくまっていたり、ペースダウンしたり、と100マイルというレースの過酷さをまざまざと見せ付けられた。

<レース後半>

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A8の西富士中には6位で到着。途中、抜いた記憶がない。途中の誘導員の方に10番目だよ、と言われていたので、パワースポーツの滝川さんに順位を聞いたときに「???」マーク。前の選手がミスコースをしてしまっていたようです。まっ、結局、この先の山岳コースで全ての方に抜かれるのですが・・・。ここのエイドで脚を冷やし、補給を済ませ、いざ、このレース正念場「天子山地」へ。

いや~、うわさどおり、この区間には苦しめられました。ストックを使わなかったので、上りが大変。追いつかれた皆さん、みんな、ストック。なかなか脚が進まなかったので、木の枝をストック代わりに、トコトコ上ることに・・・。ん~、次回の修正点は「ストック持つ」ことかな。

毛無山を過ぎ、竜ヶ岳へ。ここにいくまでも上り下りの連続。いや~、きつかったなぁ~

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苦しんでます。ほんときつかったです。

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下りへ。いざ目指すは、本栖湖。下りがほんと急で何度も転倒。滑るところも結構あったかな。この段階で脚に力が入らなかったので、余計踏ん張りが利かず、こけました。

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A9、最後のエイド。このエイドには、クラブのスタッフがメインスタッフでエイドを仕切っている。知った顔が後半にあるのはうれしい。ほっとした時間を過ごすとともに、ここでしっかり補給、給水をして、残すところ27キロ。本栖湖から樹海を少し走り、ロードへ。このロードがだらだら上りで疲れた脚にはこたえたかも。ここで一人かわし、9位浮上。あくまでも淡々と。

富士氷穴で最後の給水。いよいよ最後のトレイル。紅葉台、三湖台、五湖台(足和田山)といったこの地域で有名なハイキングコース。

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走れるところは走り、きついところは歩く。とにかく前へ前へ、という感じ。目指すゴールへ向かって、歩を進めます。

トレイルを抜け、河口湖湖畔へ。ここからは全く平らな湖畔沿いの道を走ることに。残り5キロ。残りの体力を振り絞って走る走る。最後の最後に一人かわし、8位へ。

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フィニッシュ。156キロ完走です。

ゴールタイム 22時間57分43秒

本当に長い長い旅でした。自分の中でのいろいろな葛藤もありましたが、本当に自分に向き合って、自然に向き合って、その状況に応じて、走ることができたと思います。

ロングトレイルは、自分と向き合えるかどうか?それで結果が変わってくると思う。いろんな意味で、その時々の自分の体力、感情を再認識することができるので、実に楽しい時間です。ただ、おススメはしませんが・・・。

<最後に>

このレースを走るにあたって、大会を運営する実行委員会の皆さんは、かなりの苦労をされて、このレースの開催にこぎつけたと聞いております。本当に感謝です。

さらに、各エイド、コース誘導など、レースを円滑に進めるために動いてくださったボランティアスタッフ、地域のみなさん、ありがとうございました。

そして、このレースを完走できたのも、サポートの仲間がいたから。各エイドで補給・給水をサポートしてくれ、私を勇気づけ、励まし、走りを支えてくれた。本当に感謝です。彼らなしでは、この完走はあり得ませんでした。ウルトラトレイルは、チームスポーツだなぁ、と実感した3日間でした。

さっ、ゆっくり休んで、疲労を回復させて、また次に向けて、楽しく走っていきます。